【実はわかってない?】エアコンを畳数で選ぶ方法

みなさんエアコンを選ぶ際に畳数は気にされてますでしょうか?
え?カタログに載ってる数字通りに選べば良いんじゃないの!とお思いの方が大半だと思います。
実は今までのエアコン選びだと能力を過剰に見積もった商品を買っていたかもしれません。
カタログ畳数の見方をおさらいしつつ、本当にお家に合うエアコンの選び方を伝授します。

一般的な畳数の見方

まずはカタログ上の性能についておさらいしましょう。
エアコンは暖房より冷房の方が広い畳数に対応しています。

本当だ!ということは冷房でギリギリの畳数を選ぶと冬は寒いんじゃ?

そう夏だけエアコンを使うならいいけど、冬は別に暖房器具が必要だね。

暖房だと8~10畳と表示されてるけど、目安の数値ってこと?

8畳は木造 10畳は鉄筋マンション用の広さを表しているんだ。

能力(kw)は1時間あたりに生み出す標準的な熱量をあらわしています。
カッコ書きの数値(0.6~7.3)は最小熱量0.6kwと最大熱量7.3kwを示しています。

外気温2℃以下だと低温暖房能力といって、暖房能力が抑えられるので注意してください。

畳数と能力は分かったし、建物によって条件変わるのは分かったけどどう選べば良いの・・・

お部屋に必要な冷暖房熱量を計算すると、理想のエアコンにようやく辿り着くんだ

日本の住宅事情を簡単に解説した後に、どうやって選べばいいか説明していきます。

日本の住宅はまだまだ低断熱な家が多い

平成20年に国土交通省が出した既存住宅の省エネ基準を見ると無断熱の住宅が約4割と大きな割合をしめている事がわかります。
文字通り無断熱はどんどん熱が抜けてしまい、いくら空調を効かせても寒いです。

えええっ!そんなに無断熱住宅って多いんだ。

多すぎじゃない?無断熱住宅が多いからエアコンは寒いってイメージついちゃってるよね

じゃあ5%しかない1999年基準(次世代省エネルギー基準)なら温かいのかと言うとそうでもない。
残念なことに日本の断熱性能の基準は世界と比べると低いんです。

1999年基準すら中途半端な基準でしかなく、まだ寒さを感じるレベルです。
2018年に取った建築家・工務店向けアンケートでは熱の計算が出来ないの回答が50%もありました。

日本の断熱は進んでないだね・・・

北海道とか寒い地域は断熱進んでるけど、他はまだまだですね。

一方で世界基準を見据えた住宅や寒冷地向けのしっかり断熱された住宅も増えつつあります。
高断熱住宅にお住まいの方は計算してエアコン選びを検討する価値は十分です。

お部屋に必要な能力(畳数)を計算。

カタログに書いてある畳数は低断熱住宅に合わせた数値となり、家に合った能力を知るには計算するしかありません。

計算式は松尾設計室の松尾先生が作成した物を引用させていただきます。

必要暖房能力は  (Q値C値/10)x暖房する面積x(設定室温その他域の年間最低温度) で計算出来るよ!

Q値は熱損失係数、C値は相当隙間面積を表します。

冷房は計算が難しく簡易計算できないが、「日射遮蔽がきちんとできている建物なら暖房計算の結果で大丈夫」とのこと
有名なハウスメーカーのQ値C値を松尾先生がまとめてくださっています。

引用 : 主要各社性能比較表 – 松尾設計室

実際に必要な畳数を計算してみる

計算条件は設定室温24℃ 最低外気温0℃ 旧4地域の東京で計算。
C値 Q値は松尾先生の数値を参考にさせて頂いています。

断熱性能の目安気密性能の目安Q値(W/㎡k)C値(c㎡/㎡)6畳20畳80畳
1980年以前の無断熱隙間だらけ6.522.42077694327751
1980年基準1985年以前5.212.51533512420480
1980年基準1986~19905.27.11404469518765
1980年基準1991年頃5.24.11333445717813
1992年基準1991~19984.24.11095366214638
1999年基準1999~2016年2.74.173924719875
1999年基準C値12.7166522248891
HEAT20 G1基準C値11.9147515896350
HEAT20 G2基準C値11.6140413505398

エアコン暖房定格能力(中間的な能力)を見ると6畳用は2500w18畳用だと6700wの暖房能力があります。
表で一番高性能な「HEAT20 G2基準」のお宅ですと6畳に必要な暖房能力は404wで定格能力2500wと比べるとだいぶ余裕なんです。
お部屋の広さが29畳でも必要な暖房能力は2000wにも届きません。

一軒家の平均的な広さ40坪は、畳に直すと80畳ほどで「HEAT20 G2基準」のお宅では18畳用エアコン一台で空調出来る計算です。

最後に

無断熱とHEAT20 G2基準だと光熱費5倍もかかるという結果にも驚きました。
無断熱住宅が少なくなるまではカタログ畳数は無断熱住宅が基準になりそうです。

大変ですが計算することでようやく経済的なエアコンを選ぶことが出来ます。
最近の新築住宅であればある程度断熱されてるでしょうから、カタログ畳数より小さなエアコンを選べそうです。

参考
松尾設計室
国土交通省

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