フロン排出抑制法とは?分かりやすく解説

フロン排出抑制法とは環境保護の法律です。
フロンはとても便利な冷媒(熱を移動させる媒体)なのですが、地球温暖化とオゾン層の破壊してしまいます。
地球温暖化の威力で言えば二酸化炭素の2000倍程度あります。
前半はフロン排出抑制法が必要な理由を後半にフロン排出抑制法の義務について説明します。

フロンってなに?

1928年にアメリカで開発された化合物、冷蔵庫などの冷媒(熱を移動させる媒体)用に作られました。
無色・無臭のとても扱いやすい媒体で、人間に無害・温度を伝えやすい・燃えにくい・科学的に変化しにくいなどの特性を持ち
出来た当初は「夢の化学物質」としてもてはやされました。

しかしフロンがオゾン層破壊と地球温暖化に悪影響を与えるとわかり、フロンの製造禁止・輸入禁止に動きました。
今エアコンに使われている冷媒は代替えフロンと呼ばれるもので、フロンより地球温暖化の影響を少なく・オゾン層を破壊しない化合物です。

何故フロンがオゾン層を壊すのか

フロンは科学的に変化しにくい物質で、地上付近では変化しません。
気流に乗って成層圏(高度40km付近)まで行くと、フロンは強い紫外線にさらされます。
紫外線がフロンを分解、塩素を発生します。
塩素がオゾンと科学反応を起こしオゾンを分解していきます。

一番の問題は塩素とオゾンの化学反応は一度きりではなく、塩素とオゾンが合体⇒分離⇒合体と何度も化学反応を起こしてしまう所です。
つまりフロンはオゾンを超効率的に破壊する物質です。
またフロン以外にもハロンと呼ばれる物質も塩素が含まれておりオゾン層を破壊します。

もしオゾン層が破壊されると

詳しくは割愛しますが、南極の影響を受けオーストラリアのオゾン層が薄くなる現象が起きます。
オーストラリアではガン患者の8割が皮膚と言われ、オゾン層が薄く日本の紫外線の4~5倍とのこと

もしオゾン層の破壊が進めば、強い紫外線による悪影響や皮膚がんを増やす結果を招いてしまいます。

地球温暖化とフロン

フロンは温室効果ガスの一種でガスが熱を吸収して地上の温度が上がります。
地球温暖化が進むと干ばつの発生や強力な台風が発生しやすいなど様々な悪影響があります。
京都議定書と呼ばれる条約で規制されている地球温暖化ガスは6つあります。

  • 二酸化炭素
  • メタン
  • 一酸化二炭素
  • 六フッ化硫黄
  • フロン類(PFC)
  • 代替フロン類(HFC)

もっとも多い温室効果ガスは二酸化炭素です。
温室効果ガスの全体で75%が二酸化炭素炭素で占められています。
一方フロン類は全体の2%程度です。

全体の割合だけで考えるとフロンは大したことなく感じると思います。
フロンの種類によって変わりますが、フロン類は二酸化炭素の2000倍温室効果が高いです。
量は少なくても影響は十二分に高いです。

フロン排出抑制法で変わったこと

業務用エアコンの定期点検が必要に

点検について詳しくは以下をご覧ください。
https://p2earth.com/1363/

機器の設置に関する義務

フロンが漏れないように機器を損傷しない安全な位置に設置が必要です。
設置する環境の保全、点検や修理用の空間確保も求められます。
振動元を室外機付近に設置を避ける、機器周辺の清掃も必要です。

フロン漏えいに関する義務

フロン漏えい防止措置として、修理していない機器への冷媒充填禁止(例外有り)
フロンの漏洩が見つかった場合、修理が必要。
フロン類を充填するには都道府県に登録された第一種フロン類充填回収業者へ委託が必要です。

またフロン漏えいが1,000CO₂以上の場合漏えい量の算定・報告が必要になります。
漏えいした場合毎年度国へ報告が必要で、漏えい量と会社名が公表されます。

フロン漏えいの例外

冷凍機能が維持できずに飲食物等の管理に支障が生じるなどの人の健康を損なう事態や、事業への著しい損害が生じる場合
漏えい発見から60日以内に修理を行う場合は1度のみ充填可能です。

機器の廃棄などに関する義務

フロン類回収の徹底が謳われています。
フロン類の回収は、都道府県に登録された第一種フロン類充填回収業者へ委託する必要があります。

機器の廃棄時などにフロン類の回収依頼「回収依頼書」「委託確認書」の交付やフロン類の回収・再生・破壊に必要な費用の負担が必要。

2020/4/1フロン排出抑制法が改正

10 年以上 4 割弱で低迷していた廃棄時回収率向上を目的に罰則が強化されました。
主な改正内容

・フロン類の回収が証明できない機器は引取り不可

・フロン排出抑制法の罰則強化(直接罰:行政指導なく即座に刑事罰(罰金)科されます)
◇冷媒回収せず機器を廃棄 → 1年以下の懲役または50万円以下の罰金
◇フロン類の回収が確認できない機器の引取り → 50万円以下の罰金
◇他にも 引取り証明書の保存をしていない → 30万円以下の罰金 などがあります。

・点検記録簿の保存期間延長
機器廃棄後、3年間の保存する必要がある

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